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ガスケ・メソッドとは

Méthode de Gasquet - Approche posturo-respiratoire 

ガスケ・メソッド
姿勢と呼吸からのアプローチ

生理的機能を尊重したグローバルなメソッド

 フランスで女性のペリネ(骨盤底筋)領域のパイオニアとして、ド・ガスケ医師は身体にグローバルに働きかける「姿勢と呼吸からのガスケアプローチ(Approche Posturo-Respiratoire B.de Gasquet)」を考案し1993年の医学論文で発表しました。過去40年、ド・ガスケ医師は、腹圧性尿失禁や臓器脱といった骨盤底機能不全、腰痛、椎間板ヘルニアなどの一因となっているのが、「重力」や日常生活での「不適切な腹圧管理」であると主張し続けてきました。そうした、医学の世界でも見落とされがちで尚且つ目に見えない敵と闘うためには、ペリネ(骨盤底筋)を収縮させて強化するだけでは不十分なのです。ガスケ・メソッドでは背骨を最大限に伸ばし、呼吸を手がかりに正しく的確な姿勢に整えていくことを基本原則とし、姿勢と呼吸からグローバルに身体に働きかけます。自らの身体を動かして座位や四つんばいや蹲踞位といったあらゆる体位で姿勢の整え方やエクササイズを体験することで、ガスケ・メソッドが単なるペリネの保護法ではなく、重力に負けないための身体訓練そのものであるということがわかります。

周産期とペリネ

 フランス国内では、現在までに全国の約80%の産科施設でガスケ・メソッドに基づく出産準備法の研修会が実施されました。産科実践に革命を起こすためには膨大なエネルギーが必要です。マタニティーヨガをフランスで初めて指導したのも、生理的分娩の重要性を説き、分娩の際にバランスボールに座ってリラックスしたり出産のための姿勢を模索したりすることを推奨したのもド・ガスケ医師その人です。彼女のことを「マダム・ペリネ」と呼ぶ人もいますが、それはフランスで最初に「ペリネ(骨盤底筋)」の重要性を訴えた専門家の一人だからに他なりません。ペリネは、妊娠、出産、産後に限らず、一生を通じて保護されるべき重要なパーツなのです。ペリネ領域のパイオニアとして、ド・ガスケ医師は様々な提言をしてきました。例えば、臓器脱の予防のために分娩直後の分娩台上で呼吸を使ったエクササイズを推奨したり、日本や中国、ボリビアやマグレブ諸国などで実践されてきた伝統的な骨盤帯を紹介したり、女性の一生を左右する産褥早期のケアについて助産師教育を行ったりと、40年間、ペリネを保護するために闘い続けてきました。

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腹直筋離開と問題の特殊性

 腹直筋離開とは腹直筋が極度に左右に開いた状態です。アスリートや双子を出産した母親達はそれがひどくなる危険性が高いといえます。妊娠したらすぐに予防的な取り組みを心がけ、産後も早い時期からリハビリテーションをすることが大切です。産後6週間までに妊娠前の状態に戻せなかったものは、その時期を過ぎて戻そうとしても遅いのです。男女を問わず深刻な腹直筋離開という特殊な問題に関する教育を受け、それに対処できる医療専門家は稀ですし、誤った管理法を指導している研修もあります。ド・ガスケ医師はそこにメスをいれ、エコーによる計測値などを根拠にした予防やリハビリテーションについて多くの実践法を提案しています。ガスケ・メソッド公認指導者はみな臨床経験も豊富で、産褥期早期の腹直筋離開を改善する効果的なケアについても定評があります。

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ペリネと失禁

​ ド・ガスケ医師のことを「マダム・ペリネ」と呼ぶ人もいます。それは、1980年代初頭にそれまで恥部として見落とされてきた「ペリネ(骨盤底筋)」に光を当てて探求した名だたる専門家のひとりだからに他なりません。正常なお産で分娩時に会陰に傷さえなければ尿漏れにはならないのかと言えばそうではありません。大切なのは下方に向かう圧力を絶対に生じさせないことであり、そのために腹圧を適切に管理することであり、すべての予防は腹圧と圧力についての理解から始まります。そこには分娩時の努責や排便時の息み、腹筋運動や日常生活動作での腹圧をかけない身体操作などが含まれます。

 ド・ガスケ医師が妊婦201例を対象に行った調査結果をもとにまとめた論文「経産婦の腹圧性尿失禁~産前・産中・産後における尿失禁の状況と予防案」は、尿失禁研究のためのポリヴェックス財団賞を授与しています。また、自作ビデオ映像作品「腹筋とペリネの日常的なダメージ」はフランス語圏ウロダイナミクス学際学術団体賞を獲得しました。

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周産期とペリネ
腹直筋離開
ペリネと失禁
スポーツ安全性

スポーツの安全性とパフォーマンスの向上

 筋肉トレーニングの定番メニューである「プランク(フランス語ではゲナージュという)」のことは誰もが知っていますが、全体のゲナージュ(ゲナージュ・アンテグラル)との違いをご存知の方は少ないでしょう。フランス国立スポーツ体育研究所(INSEP)がスポーツの基礎訓練にガスケ・メソッドの腹筋運動を採用した際につけられた名前が「ゲナージュ・アンテグラル」です。バイオメカニクスを尊重した精緻で的確な指示を特徴とするガスケ・メソッドを身体訓練に取り入れることで、スポーツ外傷の予防と同時に競技能力の向上を目指すことが目的です。アスリートが取り組むべき課題は、過剰な腹圧を加えたり、苦しみや痛みを伴ったりする誤った筋肉トレーニングを即刻止めることだと、ド・ガスケ医師は訴えます。仰臥位で行うトレーニングでは腰椎の生理的弯曲のとらえ方が問題となります。「腰を反らせたまま息を吸う」「腰を床に圧しつけながら息を吐く」という指示なども修正されるべき点です。こうした指示の下に行われる誤った身体操作によって、あたかも折り曲げるような動作が腰椎や頸椎レベルで繰り返されることになり、それが椎間板ヘルニアの誘因ともなっているからです。本来、背骨は弯曲の度合いをできるだけ少なくして、常に最大限に引き伸ばされた状態を保つべきパーツなのです。そうした正しい身体操作によって、腹圧は最小限に抑えられ、体幹の筋肉が正常に機能して身体はほっそりとひと回り大きくなります。もしも私達がペリネを使って骨盤を適切に傾け、背骨を伸ばして踵から頭頂にかけて最大限の距離を保つことができたとしたら、背中はまっすぐ強固に保たれて呼吸は解放されます。これがゲナージュ・アンテグラルの目指すところであり、腹筋運動の既存のモデルを根本から覆すバイオメカニクスの革命ともいえ、その影響は多岐に及びます。

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ダメージのないヨガ

 最近の傾向として、ヨガについても少し行き過ぎの観が否めません。「ポーズ」と「ポーズの真似事」の違いも理解することなくヨガを実践することは、怪我の原因にもなるため注意が必要です。「ヨガだから何をやっても安全」などと考えてはいけません。ヨガのポーズやヨガの呼吸は、それだけで関節や背骨を傷めるのに余りあるほど強力です。ド・ガスケ医師の提唱する「ダメージのないヨガ」は、個々の身体的な特徴(関節の柔軟性や骨格、骨盤や股関節の形状など)を考慮して実施します。身体的特徴により動きが制限されてしまうことはよくあることですが、そのことを理解して正しく姿勢を整えた状態で行わなければ、ヨガで得られるはずの効果は逆効果となり、健康被害をもたらす運動になってしまいます。40年以上にわたってヨガ指導者としてそれを指導してきたド・ガスケ医師は、実践レベルに関わらず、誰もが危険をおかすことなく安全にヨガを実践すべきだと考えています。

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身体準備と筋肉トレーニング

 どんなスポーツでもまずは身体の準備が基本です。最近では、女性も含め筋肉強化トレーニングに注目が集まっています。「腰を破壊する10のエクササイズ」のビデオでも例証していますが、一般的に勧められている筋肉トレーニングには不都合な点が多々あります。身体を二つに折って行うという共通点があり、これは人体のバイオメカニクスを厳密に理解していないことに由来する誤りと捉えることができます。フランス体操協会は体操種目に共通する課題として腰痛症の予防をかかげ、ガスケ・メソッドをトップアスリートの基礎訓練として採用することを決定しました。

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