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「ペリネのリハビリテーションとガスケ・メソッド」受講の勧め

更新日:2022年9月10日

さて、今日は10月28日、29日に開催予定の「ガスケアプローチとペリネのリハビリテーション」のご紹介です。


ご存知の方も多いと思いますが、フランスのペリネのリハビリテーションは、もともと理学療法士のアラン・ブシエ氏がアメリカから持ち帰り、バイオフィードバック(BF)と電気刺激法(ES)の両方が実施できるプローブ型の器具を開発し、産科医らとそれを発展させていったのが始まりです。その後、ペリネのリハビリについての教育が大学卒後教育として行われるようになりました。こうした経緯から、まず1985年に理学療法士の業務として、1997年に助産師業務(産後90日以内)としてそれぞれ認められ今に至っています。過去30年間、フランスで主に実施されてきたのが理学療法的な手法であるBFとESです。


ガスケアプローチを用いたペリネのリハビリを行っているカトリーヌ助産師に出会ったのは、かれこれ10年近く前のことです。彼女は、父親がヨガ指導者であったことから、助産師学生時代にヨガの指導に訪れたガスケ医師と出会い(助産師学校の卒論指導者はガスケ医師)、以来、ガスケアプローチを用いた分娩介助やペリネのリハビリを含む周産期ケアを実践する傍ら、2010年からガスケアプローチ公認指導者として専門職者の育成に携わっているエネルギッシュで魅力的な女性です。ガスケ法の公認指導者でペリネのリハビリに携わる助産師や理学療法士たちから、「恥骨直腸筋だけをターゲットにした一般的なリハビリと、姿勢と呼吸からアプローチするガスケアプローチを活用したリハビリとでは、後者の方が断然、効果的だと感じている」という言葉を何度も耳にし、ガスケ法を活用したペリネのリハビリについてもっと知りたいと思っていたころにカトリーヌさんに出会い、議論を交わす機会を得たのです。


彼女が実践してきたペリネのリハビリは、妊娠期から産後まで、ガスケ法を用いた一貫した戦略的なケアであるということに、まず私は助産師として感動しました。それは、周産期の女性に寄り添い、妊娠期、分娩期、産褥期とそれぞれの時期に不可欠なペリネの保護を実践するという、助産師としての使命感と強い意志の表れでもあったからです。第二子出産後に膣内まで子宮が下垂していた女性が、第三子の妊娠、産後にカトリーヌさんの徹底した指導を忠実に実践したことで、本当に子宮下垂があったのかと医師に疑われるほど症状が改善したという実際の体験談。ガスケ法を活用した妊娠期の教育、分娩介助や産褥期の腹圧の管理によって、出産で被ったダメージが修復される可能性があるのだとしたら、そこに携わる医療者、医療従事者はその人の一生に対して大きな責任を負っているといえるのでは?


もうひとつの学びは、膣内触診で骨盤底筋群の状態をチェックできないとしても、姿勢と呼吸からグローバルにアプローチするガスケ法を正しく適用することができれば、かなり大きな成果が得られるということです。なぜなら、ペリネのリハビリで内診手技が実施できたとしても、姿勢や呼吸を無視して半坐位の姿勢だけで行ったのでは、肝心の横隔膜の可動性はゼロで、恥骨直腸筋の筋トレだけに終わってしまいます。スポーツでもそうですが、速筋線維は筋トレを怠ればすぐに筋肉は失われてしまいます。ガスケ法が目指しているのは、骨盤底の筋トレではありません。姿勢と呼吸を整えて横隔膜の振幅の大きな動きを取り戻すことを通して、弾力性と機能性を備えたペリネ(骨盤底筋群)の回復です。ペリネとは、骨盤内臓器がだらりともたれかかるような形でそれを支える筋肉ではなく、普段は空っぽの臓器を支持すると同時に、姿勢と呼吸の起動装置としての機能を備えているというのが、ガスケ先生の考えです。それが、背骨を最大限に伸ばすことであり、「ペリネー息を吐く」こと、腹圧の管理といったことなのです。


私が思い描いている夢は、ペリネの問題に対して、ガスケアプローチを習得した医師が総合的に患者の状態を判断して方向付けをし、同じようにガスケ法を心得た助産師が周産期全般(あるいは婦人科領域)で、理学療法士がウイメンズヘル領域で、それぞれの専門性を生かした具体的かつ戦略的なケアを実施できる体制を作る。それが実現できれば、たくさんの女性の健康と生活の質向上に貢献できると思うからです。


専門職者として新しい可能性を探りたい方、ペリネケアについてもっと学びを深めたい方はぜひ挑戦してみてください!興味がある方で、基礎を学んだけれども応用1の受講要件を満たしていないという場合もご連絡ください。一緒に解決策を考えましょう。



最後に、日本セクションの体制づくりに時間を要しご迷惑をおかけしております。皆さんの希望される研修会を組めるまでもう少し時間がかかりそうですが、ひとつづつ形にすべく日々努力をしていますことご理解ください。


カトリーヌ先生インタビュー(インスタグラム・仏語)https://www.instagram.com/tv/CbhBSUdjoYI/?igshid=MDJmNzVkMjY=




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